ずれずれブログ

時々考えたこと

アメリカのDVDを日本で再生

DVDの国別コード

DVDは国を識別するコードが設定されていて、ごく普通に普通のDVDデッキを『日本』で買うと、アメリカで普通に流通しているDVDを再生できないことを知らない人は多いようです。私は、昔アメリカで数年生活したことがあって、その頃TVで見ていた『オッドカップル』という番組をまた見たいなと急に思いたって、アマゾンを通じて購入しました。特に注意もすることなく売ってくれるので、何も気付かずに購入してしまう人もいるでしょうね。

とりあえず、このDVDは我が家のシャープ製のビデオデッキでは再生できないだろうとは思っていたのですが予定通り再生できませんでした。

ま、ここからが工夫となりますが、ビデオデッキがだめならコンピュータでということになるわけです。特別なことではありません。ただし、コンピュータでDVDを再生することは意外に手間がかかるのと、映像を再生するのにぎくしゃくして引っかかってみたりという経験をすることも多々あります。結局、CPUの能力とソフトの出来が重要です。私も、これまでもDVDの再生は何度もチャレンジしてきましたがなかなか満足できませんでした。要するに速度不足ということでしょう。ようやく、ここ2年ぐらいで何とか満足できるDVDの再生がコンピュータでできるようになりました。あ、もちろん国内販売の日本語版のDVDでの話です。

それなら外国版のDVDも再生できれるだろうと希望を持っていたので、オッドカップルを取り寄せてみようと思い立ったというわけです。

コンピュータは、レッツノートのCF-S9、CPUはCore-i7、64ビットWin7、という仕様で、ソフトウエアには、CyberLinkのパワーDVD13、をインストールしています。一応この組み合わせで納得できるアメリカ版DVD再生が可能になりました。これ以前のデュアルコアCPUのレッツノートCF-W8では結構見てる途中でぎくしゃくして見づらかったものでしたが、CF-S9でスムーズに再生できたので満足でした。

再生時に、リージョナルコード指定の画面が出るので、アメリカは1でしたでしょうか。そこをクリックしておけばしっかり再生できます。このリージョナルコードを指定できるのはコンピュータだからということになるのでしょうね。しかし、リージョナルコードフリーのビデオデッキも世の中にはあるそうですから、今度秋葉原に行くときには探ってみましょう。

ところで、この『オッドカップル』シーズン1を購入しましたが、なかなか面白い番組です。30分もののコメディーです。二人の離婚した男どうしがルームシェアするドタバタ喜劇で、一人が極端なきれい好き、一人は極端な汚い好きというアンバランスが面白いというわけです。

 

理研が多くの研究機関に間違ったマウスを提供してしまったそうです

2014年6月22日

理研が間違ったマウスを提供してしまったそうです(朝日デジタル引用)。この場合のマウスとは研究材料として利用されるマウスですから、研究のリソースと呼ばれます。

研究所が材料を提供するというと、ちょっとした違和感を感じませんか?研究材料を提供するという仕事は、いわば研究試薬を提供する仕事とよく似ています。したがって、ふつうに考えれば、材料提供屋さんということなので最先端研究所がやることか?と疑問になります。

実際、研究用のマウスも実験動物中央研究所(実中研)というマウスを提供する仕事を専門に行う業者があります。もちろん、マウスの維持には学問的なむずかしさがありますので、研究施設も伴うのはあたりまえのことですが、マウスの維持管理などの研究が中心になります。という目で見ると、報道されたこの記事に若干の疑問が出てきます。

理研といえばノーベル賞を取ろうという日本の中で最先端の研究機関です。一方リソースセンターの第一の役割は言わば実験材料の集配組織です。最先端の研究機関と材料の集配組織がいっしょにあることに違和感を感じるのは私だけでしょうか?もちろん、一緒にある場合もあるのですが、理研という巨大研究機関の内部サービス部門としてあるならいいのですが、日本全国津々浦々の弱小研究所まで理研がサービスするのが妥当なのでしょうか。何か違和感を感じます。

理研、誤ったマウスを提供 41機関、研究に支障も

朝日新聞デジタル 6月22日(日)5時30分配信

 理化学研究所が国内外の研究機関の注文に応じて実験用マウスを提供している事業で、誤ったマウスが繰り返し提供されていたことがわかった。41機関に注 文とは異なる計178匹の遺伝子組み換えマウスが提供され、なかには実験データが使えず、研究に支障が出たケースもあった。

 正しい遺伝子組み換えマウスの提供は、iPS細胞などの再生医療研究を支える基盤となっており、ミスは研究の信頼性を損なう事態につながりかねない。

 誤ったマウスを提供していたのは、理化学研究所バイオリソースセンター(茨城県つくば市)。約6900種類の組み換えマウスを管理・販売する国内最大の 実験用マウス提供機関だ。センターは多様な組み換えマウスを開発者から預かって管理。研究機関はセンターが管理するマウスのカタログから実験に適したマウ スを選び、繁殖用の種マウスとして数匹購入し、繁殖させて実験に用いる。

 

 いやいや、理研は最先端の研究をやって、そこから生まれた最高度のリソースを提供するのだから『理研が行うことが重要なのだ』というのが理研の理屈で、それには確かに一理あるというわけです。それは私もそう思います。しかし、それでもリソースを配布するという宅配業者の仕事を理研が行うということには、どうでしょうか、かなりの違和感を感じるのです。

報道でも、日本最大のマウスの提供を行う組織だとありました。実験動物中央研究所というマウス提供機関が理研のマウス分譲を開始する以前からありながら、それを追い抜いて最大の分譲機関になってしまった理研ていったいなに?という疑問がわくのです。

理研は、日本の研究を全部一手に引き受けて、材料の分譲から最先端研究までのすべてを自分の手で握ろうとしてしまっているのではないかと、ちょっとした恐ろしさを感じてしまうのは私だけでしょうか。

最先端の研究、ノーベル賞を取ることが目的の研究機関は、材料の分譲という宅配業者業務を正当に評価することができるのでしょうか?私はできないのではないかと思います。だから、間違えも生じるのも無理ないことなのでしょう。

STAP細胞がESの混入によるのでは、という指摘が正しいと思わせる根拠はネット上の写真

さて、小保方さんのSTAP細胞も決着つきそうな気配となってきましたが、小保方さんは絶対に存在するからと、実験を開始したいとのことです。文科省もやれと言ってるわけですが、この期に及んで研究費はどうするのでしょうね。理研が持ちだすのでしょうか・・・?こういう細胞の培養には培地が結構高価なので、研究費はかなり必要になると思いますが・・・。

まさか、文科省STAP細胞を証明するための研究費を出すとも思えません。億単位でしょ?

   ◎ ◎

ところで、小保方さんが研究室でクリーンベンチの前に座って培地交換をしている写真(たぶん写真用のポーズ)がネット上に拡散してることに気が付きました。ちょっと探してみて下さい、すぐ見つかるでしょう。この写真は培地交換をしている風景なのですが、培地ビンの大きさが気になるのです(赤い液体が培養用の培地です)。つまり、培地ビンが大きすぎるのです。恐らく500mlのビンだと思いますが、培地専門業者から届けられたそのままのビンのようです(相当高価なはず)。昔、細胞培養をする研究者の皆さんはこの500mlのビンを使って、直接細胞に培地を分注していたものでした。当然今でもそれで正しいと信じて疑わない研究者は多いのです。しかし、そういう研究者が樹立した細胞は実に危険なのです。そういう研究者が樹立した細胞は信用しないほうが無難です。

現在では、このやり方が細胞の混入を招くと指摘されるようになりました。実際、日本で使われていた培養細胞株の20%もが別の細胞だという指摘が細胞バンクからなされて何故だと大騒ぎになったところで、実験の手技の中に混入の原因が無いかと考察した結果、このビンの大きさが問題になりました。

何故、500mlの大ビンを使うと細胞の混入を招くかという理由を考えてみましょう。

実に大きな落とし穴がありますし、多くの人達が気が付かないできた問題です。特に生存力が強く、増殖速度の速いHeLa細胞は、これ一発で他の細胞に混入してしまうのです。問題はES細胞の増殖速度は速いかという点です。仮にESの増殖速度は速くなかったとしても、STAP細胞はなかなか増えないことはわかっているようです。それを頑張って培養すると幹細胞になって増殖するようになるのです。何か気が付きませんか。混入する条件は十分そろっているようです。

今回、STAP細胞は、ES細胞が混入したものじゃなかろうかという指摘が浮上してきました。ES細胞はおそらくかなり強い細胞でしょう。まさに、大ビンの培地ビンを使うことによって、混入が起りうる環境が存在しているのです。

問題は、培地を注ぐピペットです。ピペットを500mlの培地ビンに突っ込んで培地を取りだし、これを細胞に注ぎます。ここでピペットを細胞に接触させる人は居ないでしょう。当然です。そのくらいは皆十分に気を付けています。気を付けているのだから細胞を別の培養に混入させることなどあるはずは無いと信じ切っていることでしょう。

ここが落とし穴なのです。培養液を細胞が居るシャーレに注ぐ時、シャーレにぶつかった培地は細かな霧になって舞い上がっているのです。特殊なカメラで撮影すれば、その様子がつぶさに見てとれます。そして、ピペットの先端には細胞が付着し、それは500mlの培地ビンの中に引きこまれてしまいます。この培地ビンは、冷蔵庫にしまわれ、培地は翌日別の細胞に注がれます。注がれる時、培地の中には前日に培地を提供した細胞が混ざっているというわけです。量はごくわずかです。従って、運よく混入を免れる場合は多いでしょう。たまたま、1個の細胞が混入してそれが増えることがあれば、細胞の予期せぬ混入となります。

そのため、正当派の培養屋さん達の間では、培地は500mlのビンで作った後、それに直接ピペットを突っ込んではいけないということになっています。培地を使う前に、かならず50ml程度の小ビンに小分けして、それはたった1種類の細胞にしかつかってはいけないというのが正しい使い方になっています。そして、必ず余ったら廃棄するのです。もったいないと別の細胞に使えば、混入問題を引き起こします。また、培地は他の研究者に使われないよう、鍵をかけて保管するべきなのです。

巷に出回っている小保方さんの培養室の写真を見ると、500ml以上の容量の培地ビンを使っていることが見て取れます。これは培地を経由しての細胞の混入を知らないとしか思えないのです。そして、この作法は、理研神戸研究所の作法でもあるのではないでしょうか。これは一考に値します。

ES細胞が混入したという疑いがあっても不思議はないなと思わせます。

実は・・・注目すべきは Muse 細胞

東北大学医学系大学院 細胞組織学分野

出澤真理教授のホームページMuse細胞の照会がある。
http://www.stemcells.med.tohoku.ac.jp/outline/

だいぶ長いのですが、冒頭をコピペ(笑)引用しておきます。これを読むと何となく、STAP細胞性質と似ているように思いません?2011年に黒田さんらがPNASに発表した研究です。

引用の記述の中ほどには、次のような記述がありますが、どこか似て無いでしょうか?

  • Muse細胞は 1細胞から3胚葉性の細胞に分化可能。
  • ストレス耐性。
  • 多能性幹細胞マーカーの発現。
  • 自己複製能。
  • 間葉系幹細胞と多能性幹細胞の両特徴を備えており、間葉系マーカー CD105とヒトES細胞マーカーSSEA-3の二重陽性細胞として組織や間葉系の培養細胞から単離可能。

東北大学医学系大学院 細胞組織学分野

【出澤真理研究室】

私たちの研究室では成人ヒトの間葉系組織に多様な細胞に分化する能力を有する新たなタイプの多能性幹細胞 Multilineage-differentiateing Stress Enduring (Muse)細胞を発見しました(Kuroda et al., 2010, PNAS;Wakao et al., 2011, PNAS; Kuroda et al., Nature Protocol, 2013)。
この細胞は

  • 骨髄、皮膚、脂肪などの間葉系組織にメインに存在し、また様々な臓器の結合組織にも内在する。市販の間葉系の培養細胞からも得られ、アクセスしやすい。
  • 1細胞から体中の様々なタイプの細胞に分化可能。自己複製能も有する。
  • そもそも体内に自然に存在する細胞であり、腫瘍化の危険が極めて低い。
  • すでに施行されている骨髄移植 (0.03%)や間葉系幹細胞移植 (~1%)の一部の細胞に相当し、安全性の実績がある。
  • 線維芽細胞と同程度の増殖力を持つ。

などの特徴を有します。

一般に体性幹細胞(組織幹細胞とも言う)は、その幹細胞の存在する組織を構成する細胞群を分化させることの出来る細胞と考えられております。 例えば神経幹細胞であれば神経とグリアが、造血幹細胞では血球系の細胞が作られるのがその例です。しかし間葉系幹細胞では骨、軟骨、脂肪などの間葉系細胞 の他に、神経(外胚葉)、肝細胞(内胚葉)など胚葉を超えた分化が報告されてきました。このことから間葉系幹細胞には多能性の細胞が内在するのではないか と議論されてきましたが、間葉系幹細胞はもともと均質な細胞によって構成されているわけではなく、複数種の接着性細胞の集団ですので、仮に多能性幹細胞が 存在するとして、その実態はどのような細胞なのか、ということが長らく議論となっていました。

当教室では成人ヒトの皮膚や骨髄などの間葉系組織から多能性幹細胞を同定することに成功し、この細胞をMuse細胞と命名しました (Kuroda et al., 2010, PNAS)。Muse細胞は1細胞から3胚葉性の細胞に分化可能で、またストレス耐性能、多能性幹細胞マーカーの発現、自己複製能などを有します。そもそ も生体に存在することからも腫瘍性増殖を示さないという大きな利点があります。間葉系幹細胞と多能性幹細胞の両方の特徴を備えており、間葉系マーカー CD105とヒトES細胞マーカーSSEA-3の二重陽性細胞として組織や間葉系の培養細胞から単離可能です。

多能性を備えながら腫瘍性が無いので再生医療への応用が期待されているわけですが、Muse細胞の持つ最大の利点は

  • 誘導もせずそのまま血中に投与するだけで組織修復をもたらす。

ということです。すなわち

  • 腫瘍を作らないという安全面だけでなく、分化誘導もせずにそのまま生体内に投与するだけで組織修復細胞として働く簡便性にある。

ということです。例えばES細胞やiPS細胞を再生医療に用いる場合には、目的とする細胞に分化誘導し、さらに腫瘍化の危険を持つ未分化な細 胞を除去するという2つの要件が前提となります。しかしMuse細胞の場合、採取してきて体内に投与すれば障害部位を認識し、そこに生着して組織に応じた 細胞に自発的に分化します。ですからCell Processing Center (CPC)での分化誘導などの操作を必ずしも前提とはしません。さらにMuse細胞の母集団となる間葉系幹細胞は現在世界中で数多くの臨床試験が展開され ており安全性が担保されています。従ってMuse細胞以外の間葉系細胞が残存したとしても腫瘍化の危険は極めて低く、再生医療への応用が現実的であると考 えられます。

現在、我々の研究室では

  • Muse細胞の発生学的な起源
  • 生体内での機能とMuse細胞動態の制御因子の開発
  • microRNA発現系の制御
  • Muse細胞の増殖能の制御因子
  • 組織間Muse細胞の比較検討

などの基礎的研究だけでなく、心筋梗塞、肝疾患、脳梗塞、神経損傷、糖尿病、感覚器障害などの多様な疾患をターゲットとした再生医療への応用に向けて国内外で研究を展開しております。

 

 

 

 

200回のSTAP細胞作り

今朝の日テレニュースで、小保方さんは『毎日毎日STAP細胞を作る実験をやっていた、だから200回成功したというのは真実です』とのコメントを文書で発表したと報じていた。どうして、こういう言い方するかな・・・と不思議に感じた。問題は、毎日毎日STAP細胞を作って何やってたの?ただひたすらSTAP細胞を作るだけ、作ったSTAP細胞を使ってどのような実験をやってたの?

普通の研究者なら、数回安定してSTAP細胞を作ることに成功すれば、次には、その細胞を使って新しい実験に進むということになると思うのだが、それが無い。実はこれが無いということは出来たと信じたSTAP細胞は実はSTAP細胞では無かったのではないのかと普通の研究者なら考察をし、その細胞を確かめる実験をする。

で、小保方さんの場合そういう考察は一度も語っていない。STAP細胞がホントにSTAP細胞なのかどうか、自分でも確信が持てなかったのではないだろうかと推察する。だから、何度も何度も作って、あるポイントまではいくから『STAP細胞が出来た』と確信はする、しかし、その次の実験をしても失敗する。失敗の考察をちゃんとしないから、同じようにSTAP細胞なるものを再び作り、やはり次のステップに進んだところで失敗する。ひたすらこれをくりかえしているうちに200回もSTAP細胞を作ってしまった。確かにSTAP細胞が出来ているのに、変だ、明日失敗したらもうやめようと何度も思いつつ、でも何度繰り返してもSTAP細胞は出来ている。そして200回も作ったのだから真実だと思い込んだ。このような場合、普通なら後ろ髪を引かれつつ、STAP細胞からは手を引くものだが、小保方さんは思い入れが強すぎて手を引かず、多くの研究者を巻き込んでしまったし、巻き込まれた研究者も瞬間とは言えSTAP細胞に魅了されてしまった。

だから、小保方氏は、STAP細胞と思しき細胞を若山先生のところに持ち込んでキメラ細胞作りを依頼した。最初はうまくいくはずは無いと考えていた若山先生は、やはりうまくいかなかった。しかし、絶対に出来ていると信じていた小保方さんはめげずに何度も何度も若山先生のところに『これが新しいSTAP細胞です』と持ちこんだ、そして何度も失敗した。

ところがある日『ついに成功してしまったんだ』と若山さんは言った、震えたという。よほどの驚きと感激だったのだろうと思う。そして、執念でSTAP幹細胞が出来たのだと感動したようだ。しかし、研究では、この時期が最も危険なのだといことを胸に刻むべきなのである。そう、別の細胞の混入問題である。

『樹立が難しい細胞の樹立を私がやった』すごいだろうと喜ぶ場合、その多くは別の細胞が混入して、あたかも成功したかのように見えてしまうことがあるのだ。多くの研究者がこれによって誤った細胞を世に送り出してきている。細胞バンク設立されて、細胞の検査体制が確立した後、こういう問題が実に多かったという事実が明らかになった。日本だけにとどまらない、世界的に・・・である。

若山先生はやはり信頼できる科学者である。若山氏は、問題が指摘され今のような状況になったので、このSTAP細胞を取り出してきて、遺伝子検査を実施したという。その結果、STAP細胞を作った元のマウス(129系統)と異なるマウス(B6系統)由来の細胞だったことを明らかにした。つまり、STAP細胞と言われた細胞からSTAP幹細胞は一例も作られていないことを明らかにした。つくづく残念なのは、この確認実験を論文を書く前に何故きちんとやっておかなかったのかということだ。

振り返って、山中先生がiPS細胞を作ったという最初の論文をNatureに投稿した時のエピソードだ。ちょっと専門的になるのであまり一般的に語られてはいないが、この小保方論文で見逃された実験を山中先生の場合はNatureがちゃんと要求していた。その実験とは、iPS細胞を作った元の細胞遺伝子型分析とiPS細胞を作った後の細胞遺伝子型分析を比較せよというものだった。iPS細胞では若干の遺伝子変化はあるかもしれないが、作成前の細胞と作成後の細胞が同じ細胞、正確に言うなら同じ人に由来する細胞であることを確認せよということになる。この実験方法とは、最近度々司法の分野で問題になる冤罪事件の決めてとなる遺伝子分析と同じ実験である。人の場合は、手法が確立されているので割合容易にできる。しかし、マウスでは必ずしも確立していないことと実験用のマウス遺伝子型の共通性が高く分析は確かにしにくい。しかし、次世代シークエンサーが普及している今、相当広い塩基配列を分析すればかならず確認できる。だから、捏造発覚後若山さんは、この実験をやりSTAP細胞を作ったもとの細胞と、出来たSTAP細胞遺伝子型が変化したから、細胞の混入等の事故が起ったのだろうと考察し、結果的STAP細胞が出来たとは言えないと結論を下した。

思えば、山中先生が最初のiPS論文を出した頃、細胞の混入や誤謬が世界的に問題にされていた。勿論日本国内でも細胞バンクを中心に問題視して、検査体制を確立していた。英国ではBBC放送が『Cancer Research Wasted Milions』という番組を放送した。細胞の間違えは、巨額の研究費をどぶに捨てるのと同じだということであった。実際に『STAP cell research wasted milions』という様相を呈している。

STAP細胞は、ここまで批判を受けながら、作った・出来たという人が徐々に減ってきて今や本人とアメリカのバカンティ教授だけになってしまった。そして、再現実験には今日の時点でだれも成功していない。小保方氏は『第三者も成功した人がいます』と発言したが、第三者名は公開されず、そのデータを把握しているという理研は、これはSTAP細胞が出来たことを証明していないと昨日公表したとのこと。

問題になり始めてから、STAP細胞とSTAP幹細胞を厳密に区別し始めた。これは要注意であろう、責任逃れの準備を始めているのかもしれない。