ずれずれブログ

時々考えたこと

STAP細胞がESの混入によるのでは、という指摘が正しいと思わせる根拠はネット上の写真

さて、小保方さんのSTAP細胞も決着つきそうな気配となってきましたが、小保方さんは絶対に存在するからと、実験を開始したいとのことです。文科省もやれと言ってるわけですが、この期に及んで研究費はどうするのでしょうね。理研が持ちだすのでしょうか・・・?こういう細胞の培養には培地が結構高価なので、研究費はかなり必要になると思いますが・・・。

まさか、文科省STAP細胞を証明するための研究費を出すとも思えません。億単位でしょ?

   ◎ ◎

ところで、小保方さんが研究室でクリーンベンチの前に座って培地交換をしている写真(たぶん写真用のポーズ)がネット上に拡散してることに気が付きました。ちょっと探してみて下さい、すぐ見つかるでしょう。この写真は培地交換をしている風景なのですが、培地ビンの大きさが気になるのです(赤い液体が培養用の培地です)。つまり、培地ビンが大きすぎるのです。恐らく500mlのビンだと思いますが、培地専門業者から届けられたそのままのビンのようです(相当高価なはず)。昔、細胞培養をする研究者の皆さんはこの500mlのビンを使って、直接細胞に培地を分注していたものでした。当然今でもそれで正しいと信じて疑わない研究者は多いのです。しかし、そういう研究者が樹立した細胞は実に危険なのです。そういう研究者が樹立した細胞は信用しないほうが無難です。

現在では、このやり方が細胞の混入を招くと指摘されるようになりました。実際、日本で使われていた培養細胞株の20%もが別の細胞だという指摘が細胞バンクからなされて何故だと大騒ぎになったところで、実験の手技の中に混入の原因が無いかと考察した結果、このビンの大きさが問題になりました。

何故、500mlの大ビンを使うと細胞の混入を招くかという理由を考えてみましょう。

実に大きな落とし穴がありますし、多くの人達が気が付かないできた問題です。特に生存力が強く、増殖速度の速いHeLa細胞は、これ一発で他の細胞に混入してしまうのです。問題はES細胞の増殖速度は速いかという点です。仮にESの増殖速度は速くなかったとしても、STAP細胞はなかなか増えないことはわかっているようです。それを頑張って培養すると幹細胞になって増殖するようになるのです。何か気が付きませんか。混入する条件は十分そろっているようです。

今回、STAP細胞は、ES細胞が混入したものじゃなかろうかという指摘が浮上してきました。ES細胞はおそらくかなり強い細胞でしょう。まさに、大ビンの培地ビンを使うことによって、混入が起りうる環境が存在しているのです。

問題は、培地を注ぐピペットです。ピペットを500mlの培地ビンに突っ込んで培地を取りだし、これを細胞に注ぎます。ここでピペットを細胞に接触させる人は居ないでしょう。当然です。そのくらいは皆十分に気を付けています。気を付けているのだから細胞を別の培養に混入させることなどあるはずは無いと信じ切っていることでしょう。

ここが落とし穴なのです。培養液を細胞が居るシャーレに注ぐ時、シャーレにぶつかった培地は細かな霧になって舞い上がっているのです。特殊なカメラで撮影すれば、その様子がつぶさに見てとれます。そして、ピペットの先端には細胞が付着し、それは500mlの培地ビンの中に引きこまれてしまいます。この培地ビンは、冷蔵庫にしまわれ、培地は翌日別の細胞に注がれます。注がれる時、培地の中には前日に培地を提供した細胞が混ざっているというわけです。量はごくわずかです。従って、運よく混入を免れる場合は多いでしょう。たまたま、1個の細胞が混入してそれが増えることがあれば、細胞の予期せぬ混入となります。

そのため、正当派の培養屋さん達の間では、培地は500mlのビンで作った後、それに直接ピペットを突っ込んではいけないということになっています。培地を使う前に、かならず50ml程度の小ビンに小分けして、それはたった1種類の細胞にしかつかってはいけないというのが正しい使い方になっています。そして、必ず余ったら廃棄するのです。もったいないと別の細胞に使えば、混入問題を引き起こします。また、培地は他の研究者に使われないよう、鍵をかけて保管するべきなのです。

巷に出回っている小保方さんの培養室の写真を見ると、500ml以上の容量の培地ビンを使っていることが見て取れます。これは培地を経由しての細胞の混入を知らないとしか思えないのです。そして、この作法は、理研神戸研究所の作法でもあるのではないでしょうか。これは一考に値します。

ES細胞が混入したという疑いがあっても不思議はないなと思わせます。